音々♪の本棚

音々♪が小説の内容について記事を書いていきます。 更新頻度はまちまちです。

小説「ヒトからの贈り物」part3.0

 

 

 

初めて"人"を殺してからしばらく経った

金木犀(きんもくせい)の仄(ほの)かに香る時節

 

 

 

 

 

バケモノは再び街に舞い降りた、ココロを壊して。

小説「リミット彼氏」 Part6

 

~優人の病室~

 

部屋に戻るとそこには桜由の姿があった

「サユ!?」

「優くん!」

優人は動揺しながら率直に思った質問を問いかけるが

驚きのあまりきちんとした言葉にならなかった

「え?なん…?まだ時間…えっ!?」

「部活早めに抜けて来ちゃった☆」

「え…平気なのかそれっt」

言い終わらないうちに桜由が言葉を重ねる

「へーきへーき!それより優くん大丈夫?」

「え、何が…って俺の体調か…取りあえず大丈夫だよ、

 さっき散歩に行ってたんだけど身体に違和感だとか不具合だとかって無かったし

 あえて言うんだったら体力が衰えてたことくらいかな…」

それを聞くと少女は心底安心したようでホッとした表情を見せながら言葉を発した

「良かった…ずっと心配だったんだよ」

「ゴメンな……」

「優くんが謝る事ないよ!」

少年は言葉に詰まりながら心で思ったことを口に出す。

「いや、なんていうか…な?」

「うーん…よく分かんないけどいいや」

そんな会話から始まって他愛の無いような話を続けていったら

いつの間にか時間が過ぎて

昨日よりは満足げな顔で桜由は帰って行った。

 

「うーん…暇だな……」

桜由が帰っていった後暇になってしまった少年は

部屋でボーッとして時間が過ぎるのを何ともなく感じていた

するとその時にトントンとノックする音とガチャリとドアの開く音が聞こえた。

「失礼します。夕飯を持ってきましたよ」

「あ、有り難うございm…ありがとう」

(もうそんな時間か…)

少年は時間を意識していなかったので軽く驚いた。

「いただきます」

「どうぞ、召し上がれ。

 といっても私が作ったんじゃないんですけどね

 あ、そういえば3日後に検査があるので

 頭の片隅にでも入れておいて下さい」

「3日後か…」

少年は看護婦さんに聞こえないように言ったつもりが

看護婦さんに聞こえてしまっていたらしく

「はい、他の方の検診だとかがあるので3日後と言うことです。」

と答えが返ってきた。

「そう…ですか……あ、解った…です…」

少年は敬語が抜けきれないようで

看護婦さんにクスリと笑われてしまった。

 

 

 

 

 

 

ーーー命の制限時間(リミット)まであと68日と数時間数分ーーーー

 

 

 

 

 

小説「リミット彼氏」 Part5

 

暫(しばら)く嵐が過ぎ去っていたような

虚無感に包まれていたが実際の時間では5分程度であった

体感時間で数十分ほどその場で立ちつくしていた。

 

呆(ほう)けた状態からハッと意識が覚醒し切っていない状態で少年は呟く

 

「今度こそ散歩へ行こう」

 

答える者は誰も居ない

 

~病院内の庭園~

 

「ここの病院ってこんなに広かったんだ」

優人は病気にはほとんど無縁で病院なんぞ来たことがなかった

あえて来たことがあると言っても予防接種やらなんやらだけだ

「こんなに綺麗な庭園があるなんて知らなかったな…」

暫く散策しているうちに広場に付いていた。

だが、身体にはこれまでとは違う疲れが溜まっていた。

「1ヶ月も寝っぱなしだったんじゃ身体も鈍(なま)って当然か…」

 優人は運動部ではなかったがそれなりに身体は動かしていたので

運動神経は結構良い方だった

優人は少し休憩するべく側にあったベンチに腰掛けた

少年が一息つくところころと何処からともなくボールが転がってきた

(…サッカーボール?)

何故ここにと疑問に思いながらボールを拾い上げると

「すいませ~ん!そのボール僕のなんです…!!」

と最後は口ごもりながら言う

小学生から中学生くらいの少年の声が優人の耳に届いた

「あ…」

(あの子のボールなのか…)

「よっと」

優人がボールをその子の方へぽーんと放ると

ボールが少年の手に吸い込まれていった

「お兄さん有り難うございます!!」

という声が優人の耳に入りニコッと笑顔で

「どういたしましてー!」

と答えた。

(よく見たらここは結構いろんな人で溢(あふ)れかえっているな…

 意識してなかったからそう見えるだけか?)

そう思いつつベンチで休んだ後(のち)少年は

「そろそろ部屋に戻ろうか…」

と呟いて部屋に戻っていった。

 

 

 

小説「リミット彼氏」 Part4

 

 

同日の昼下がり

 

(サユ、「明日絶対来るから!」って言ってたよな…

 何時くらいに来るんだろう…

 今日は金曜日…?

 だから部活が終わってから来るにしても

 アイツの部活は最終下校時刻ギリギリまでやってるんだよな…

 最終下校時刻が5時だから学校からここまでくるのに30分くらいと

 考えて早くても5時半過ぎか…)

「まだまだ時間があるな…暇だから散歩にでも行こうかn…!?」

そう言い終わらないうちに部屋の扉が開いた

「優人!!」

そういって姿を現したのは少年の母だった。

「なんだ、母さんか…」

「良かった…いきなり倒れたって連絡があってから

 意識不明の状態で今まで…」

そう言いながら母の目には水が溜まっていく

「母さんまで泣くなよ…」

 

あきれたように少年は言うが内心では母がそこまで

自分の事を思ってくれていたのか、と考えていた。

優人の家は、母も父も中々家に帰ってこないような家庭だったので

(俺が倒れても心配していないんじゃないか)

と心の底で少なからず思っていたのだ。

 

「俺はひとまず大丈夫だからさ」

「良かった…良かった……」

 

 

 

部屋に在る音は母さんのすすり泣く声だけだった

 

母さんの涙が止まった後、部屋には少しの間沈黙が流れた。

 

 

 

「桜由から聞いたんだけど検査だとか

 あるらしいから暫く入院だってさ…」

「そう……」

まだ涙腺が緩んでるらしく涙目で母は応じる。

「そういえば私が部屋に入った時凄く驚いた顔してたけど大丈夫?」

「外に散歩に行こうとしてたときに

 母さんが丁度良いタイミングで入ってきたから

 驚いただけだよ」

「あら、そう?」

「なんだよ。」

「いえ?なんでも。」

とか言いながらも母さんが新しいおもちゃを

見つけたときの子供並に目を輝かせていたのは言うまでもない。

(母さんと話していると調子狂うんだよな…これだから母さんは苦手だ…)

「そういえば目を覚ました後に桜由ちゃんに会ったのね」

「あ、うん。」

「私もすぐにでも電話が来たときに

 丁度仕事が終わったからすぐにでも

 駆けつけたかったんだけど面会時間が終わった後に

 電話がかかってきたから行けなかったの…」

「桜由はなんか付きっきりで居てくれたらしいんだよね…」

「ふーん」

「なんだよ母さん!!」

「いつまで経っても「ラブラブ」だなーって思って♪」

「なっ…///」

「じゃあ、私そろそろ帰るわね」

「えっ」

(来たばっかりじゃん)と言う言葉が出そうになったが

母の目の回るほどの忙しさは小さい頃から解っているので

何にも言えなくなった。

「優人の元気な顔が見れて母さん嬉しかったよ。

 じゃあね、また来るわ」

「…解った……」

 

 

 

腑に落ちないところがあったがそれしか口に、声という媒体として出すことしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小説「リミット彼氏」 Part3

 

 

朝、何ともなくパチリと目が覚めた。

視野に入ったのは綺麗で鮮やかな白

其処に広がるのは白一色だけだった。

 

少年はごそごそと布団の中に蹲(うずくま)りつつ感じたのは強烈な違和感。

(あぁ、そうか此処は病院なのか。)

そう思った刹那、扉が開いた。

何か心当たりがあるわけもなく呆然としていたら

扉を開いた張本人が口を開いた。

「おはようございます

 いや、はじめましての方が良いのかしら?

 私は貴方…優人くんの担当になった看護婦です。

 短い間になると良いのですがこれからよろしくお願いしますね」

看護婦の自己紹介に違和感を覚えたが

あえて突っ込む必要もないと判断して

「あぁ…はい、こちらこそよろしくお願いします…」

と情けない声が零(こぼ)れた。

 

俺が目を覚ました事を何故知っているのか?と

その時は思ったが後から聞いた話、俺が目を覚ました日に

サユが帰る前にナースセンターに伝えてくれていたそうな。

ならその日のうちに来ればいいのではとも思ったが

その人が来たときにはもう俺が寝付いた後だったらしく

どれだけ話しかけても死んだように目を覚まさなかったし

起こしてしまっても悪いと思ったらしくこのタイミングになってしまったらしい。

余談だがこの看護婦さんは初めて担当を任されたのが俺らしい

 

その後看護婦さんは朝食を持ってきてくれた、

「病院の朝食は普通のご飯より味気ないと思いますが我慢して下さいね」

「あ、はい。有り難うございます…」

そういって雑炊みたいなご飯を喉に通した。

そうすると唐突に看護婦さんが

「……それにしてもあの女の子良い彼女さんですね」

などと言うから俺は口の中に入っていたご飯で噎(む)せた

「んな!!??なんで桜由のことを…!?」

これはヤバい、ご飯が気管に入ったかもしれない

「えっ?優人くんが倒れた日には泣きじゃくりながら

 病院まで付き添ってくれて、しかもその日は次の日になるまで

 ずっと付き添っていてくれたのよ、

 さらに倒れた次の日から毎日毎日お見舞いに来ていたので…

 彼女さんじゃないんですか…?」

戸惑いながら新人のような素振りを見せつつ尋ねた。

「そう…ですけど///」

さっきまで何ともなかったのにその言葉を呟いた瞬間耳まで熱くなった。

「そういえば!! 今日って何日ですか?」

突然話題を少しでも変えようと大声になってしまったらしく

看護婦さんが一瞬びくついたが丁寧に答えてくれた。

「今日は…確か11月30日だった筈よ?」

即座に少年の頭が働いた

(俺が倒れたのが確か10月30日だったはずだから…)

「俺が倒れてから1ヶ月!?」

「えぇ…そうよ?」

(俺が倒れてから1ヶ月もずっと毎日毎日サユは見舞いに来てくれていたのか…)

戸惑いながら少年は呟く

「……教えて下さって有り難うございました。」

「あ、そういえば敬語なんて使わなくて良いわよ?

 正直あんまり年は変わらないし…

 さらに1ヶ月もずっと意識がなかったんだし

 この病院の事もあんまり解らないでしょ、

 解らない事とかがあったら遠慮無く聞いてね!」

「はい……あ、うん……」

(元気な人だな…)

それがこの人に対しての第一印象だった。