音々♪の本棚

音々♪が小説の内容について記事を書いていきます。 更新頻度はまちまちです。

小説「リミット彼氏」 Part1

 

「私は神を信じない」

 

ーだって、神が本当にいたのならこの世に病気なんて在(あ)る筈無いじゃない

 

❖ ❖ ❖

 

「今日は何処行こっか?」

少女は少年に問いかける

「そうだなー…お前となら何処でも良いぞ」

周りから見たら惚気と思われるであろう言葉を少年は躊躇いもなく口に出す。

「じゃあ、美味しいお菓子がある店知ってるからそこに行こう?」

それが、二人にとってはさも同然のようなやりとりのようで

「あぁ、じゃあそこに行こう」

と少年は呟いた。

 

今日もいつもと変わらずに他愛のない話をしながらお店へ行き、

二人はお菓子を食べきった。

 

「次は何処行こっか?」

少女は健気に少年に問いかける。

「そうだなー…ゔっ…!?」

「え…?」

少女が理解に苦しんでいると少年が咳き込む

「ゲホッゲホッ…ガハッ…!!」

「優くん、優くん!?大丈夫!?」

 

ーーー遠くから鳴り響くやけに五月蝿いサイレンの音

     次第にふくらむ焦燥感、不安、厭(いや)な感覚ーーー

 

「やめて…やだ…嫌だ!!」

(なんでこんなにも不安が募るの!?)

 

消えゆく意識の中少年は思ふ

(俺…どうしたんだ?何(なん)か大事(おおごと)になっ…て…る……)

少年の意識はそこで途絶えた。

 

ーーー命の制限時間(リミット)まであと119日と数時間ーー