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音々♪が小説の内容について記事を書いていきます。 更新頻度はまちまちです。

小説「リミット彼氏」 Part2

 

 

「…くん…」

               「優くん…」

 

 

(…?)

少年のうっすらと蘇(よみがえ)りつつある意識に

少女の声が染み込む

 

少女は呟く、心に浮かんだ疑問符を

「優くん…なんで……優くんが…いきなり……」

少年は思う

(ここは…何処だ…?)

自然と口から零(こぼ)れ落ちたのは

到底言葉とは呼べないものだった

「う……ん………?」

少女は問う

「優…くん…?」

(……?)

少年のぼんやりとした意識に次々と疑問符が浮かぶ

(ここは何処だ?俺は今どうなって居るんだ?)

「俺…」

それらの疑問符を問いかけようとし、

大きな少女の声がそれを遮る

「優くん!目ぇ覚めた!?」

気がつけば少女は口から言葉が漏れていた

「良かった…このまま優くんが目を覚まさなかったら…どうっ…しようっ…て」

感情の吐露(とろ)

それと同時に少女は目から滴(しずく)を零(こぼ)す。

少年はそれを見て思う

(え…?俺が…泣かせ…た…?)

少女はしゃくり泣く

「うぅっ…グスッ」

少年は戸惑いつつも訴える自身の無事を

「な!?俺は大丈夫だから!!ほら!この通り!!」

少女は少年に疑問符をぶつける

「……ホント?」

少年は真剣な眼差しで少女を見つめて呟く

「あぁ、ホント。」

 

「「……」」

 

両者の間にしばし沈黙が流れる

 

 (桜由(さゆ)に凄い心配かけたんだな…)

少年がそう思った瞬間

放送が静寂に包まれた部屋に響く

『面会時間終了のお知らせです、

 まだ面会をしている方がいらっしゃったら…』

 

 外の事を意識などしていなかったので少年は呟く

 「あ…外、真っ暗だな」

少女が少年に告げる

「…優くん、暫(しばら)く入院だってね…検査とかあるから…」

名残惜しく最後に言葉を紡ぐ

「じゃあ、今日はもう帰らないといけないけど

 明日も絶対に来るから待っててね…?」

「あぁ、解った…」

その答えを聞いて安心した様で

「じゃあ、また明日ね!」

とだけ言い残して少女は足早に部屋を後にした。

 

 

一人部屋に残された少年は体に違和感を覚えた

(ん…?)

 

体に繋がれた数本の管(くだ)。

 

(点滴…?)

管に繋がれた先を確認して少年は改めて理解した、

自分が置かれている状況を

 

(そうだ、今俺は病院に居るのか、

 そういえば今日は何日だろう…

 俺が倒れてからどの位経ったんだ?)

 

そして二つの疑問符が浮かぶ

 

(今、気にしても仕様(しょう)が無いな…此処には誰も居ないし。)

そう思い体が安心したようで気付く

やけに重たい身体、瞼(まぶた)に

「思ったように頭が働かないな…

 今日はもう寝て明日考えようか…」

そう呟くと少年はずっと眠っていた筈の

身体に溜まっている疲れに疑問を感じながら

瞼を閉じた。

 

 

 

 

何故か身体が相当疲れていたらしくすぐに意識は無くなった。