音々♪の本棚

音々♪が小説の内容について記事を書いていきます。 更新頻度はまちまちです。

小説「リミット彼氏」 Part6

 

~優人の病室~

 

部屋に戻るとそこには桜由の姿があった

「サユ!?」

「優くん!」

優人は動揺しながら率直に思った質問を問いかけるが

驚きのあまりきちんとした言葉にならなかった

「え?なん…?まだ時間…えっ!?」

「部活早めに抜けて来ちゃった☆」

「え…平気なのかそれっt」

言い終わらないうちに桜由が言葉を重ねる

「へーきへーき!それより優くん大丈夫?」

「え、何が…って俺の体調か…取りあえず大丈夫だよ、

 さっき散歩に行ってたんだけど身体に違和感だとか不具合だとかって無かったし

 あえて言うんだったら体力が衰えてたことくらいかな…」

それを聞くと少女は心底安心したようでホッとした表情を見せながら言葉を発した

「良かった…ずっと心配だったんだよ」

「ゴメンな……」

「優くんが謝る事ないよ!」

少年は言葉に詰まりながら心で思ったことを口に出す。

「いや、なんていうか…な?」

「うーん…よく分かんないけどいいや」

そんな会話から始まって他愛の無いような話を続けていったら

いつの間にか時間が過ぎて

昨日よりは満足げな顔で桜由は帰って行った。

 

「うーん…暇だな……」

桜由が帰っていった後暇になってしまった少年は

部屋でボーッとして時間が過ぎるのを何ともなく感じていた

するとその時にトントンとノックする音とガチャリとドアの開く音が聞こえた。

「失礼します。夕飯を持ってきましたよ」

「あ、有り難うございm…ありがとう」

(もうそんな時間か…)

少年は時間を意識していなかったので軽く驚いた。

「いただきます」

「どうぞ、召し上がれ。

 といっても私が作ったんじゃないんですけどね

 あ、そういえば3日後に検査があるので

 頭の片隅にでも入れておいて下さい」

「3日後か…」

少年は看護婦さんに聞こえないように言ったつもりが

看護婦さんに聞こえてしまっていたらしく

「はい、他の方の検診だとかがあるので3日後と言うことです。」

と答えが返ってきた。

「そう…ですか……あ、解った…です…」

少年は敬語が抜けきれないようで

看護婦さんにクスリと笑われてしまった。

 

 

 

 

 

 

ーーー命の制限時間(リミット)まであと68日と数時間数分ーーーー