小説「ヒトからの贈り物」Part3.5
怯えて、脅えて、知らぬ所についてようやく蹲(うずくま)った
バケモノは息が切れながらも呟く
「コワ…イ……」
恐怖に包まれて口から出た言葉はそれだけであった
その後力尽きてバケモノは身体の芯から崩れ落ちた
少しばかりの時間が経ち魘(うな)されたバケモノは瞼(まぶた)が開いた
「ハァッハァ......」
荒げた息を整えると震える足を立たせ体を持ち上げ走り出した
何者からか逃げるように
走って走って逃げて逃げ回る
踞り目を閉じる
荒んだ心をいなすように
「怖い、恐い、コワイ......」
それ以上もそれ以下も無くそう呟いたところでバケモノは意識を失った