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音々♪が小説の内容について記事を書いていきます。 更新頻度はまちまちです。

小説「リミット彼氏」 Part4

 

 

同日の昼下がり

 

(サユ、「明日絶対来るから!」って言ってたよな…

 何時くらいに来るんだろう…

 今日は金曜日…?

 だから部活が終わってから来るにしても

 アイツの部活は最終下校時刻ギリギリまでやってるんだよな…

 最終下校時刻が5時だから学校からここまでくるのに30分くらいと

 考えて早くても5時半過ぎか…)

「まだまだ時間があるな…暇だから散歩にでも行こうかn…!?」

そう言い終わらないうちに部屋の扉が開いた

「優人!!」

そういって姿を現したのは少年の母だった。

「なんだ、母さんか…」

「良かった…いきなり倒れたって連絡があってから

 意識不明の状態で今まで…」

そう言いながら母の目には水が溜まっていく

「母さんまで泣くなよ…」

 

あきれたように少年は言うが内心では母がそこまで

自分の事を思ってくれていたのか、と考えていた。

優人の家は、母も父も中々家に帰ってこないような家庭だったので

(俺が倒れても心配していないんじゃないか)

と心の底で少なからず思っていたのだ。

 

「俺はひとまず大丈夫だからさ」

「良かった…良かった……」

 

 

 

部屋に在る音は母さんのすすり泣く声だけだった

 

母さんの涙が止まった後、部屋には少しの間沈黙が流れた。

 

 

 

「桜由から聞いたんだけど検査だとか

 あるらしいから暫く入院だってさ…」

「そう……」

まだ涙腺が緩んでるらしく涙目で母は応じる。

「そういえば私が部屋に入った時凄く驚いた顔してたけど大丈夫?」

「外に散歩に行こうとしてたときに

 母さんが丁度良いタイミングで入ってきたから

 驚いただけだよ」

「あら、そう?」

「なんだよ。」

「いえ?なんでも。」

とか言いながらも母さんが新しいおもちゃを

見つけたときの子供並に目を輝かせていたのは言うまでもない。

(母さんと話していると調子狂うんだよな…これだから母さんは苦手だ…)

「そういえば目を覚ました後に桜由ちゃんに会ったのね」

「あ、うん。」

「私もすぐにでも電話が来たときに

 丁度仕事が終わったからすぐにでも

 駆けつけたかったんだけど面会時間が終わった後に

 電話がかかってきたから行けなかったの…」

「桜由はなんか付きっきりで居てくれたらしいんだよね…」

「ふーん」

「なんだよ母さん!!」

「いつまで経っても「ラブラブ」だなーって思って♪」

「なっ…///」

「じゃあ、私そろそろ帰るわね」

「えっ」

(来たばっかりじゃん)と言う言葉が出そうになったが

母の目の回るほどの忙しさは小さい頃から解っているので

何にも言えなくなった。

「優人の元気な顔が見れて母さん嬉しかったよ。

 じゃあね、また来るわ」

「…解った……」

 

 

 

腑に落ちないところがあったがそれしか口に、声という媒体として出すことしか出来なかった。